「アナタはなぜチェックリストを使わないのか? 重大な局面で“正しい決断”をする方法」という本を読みました。
医療や航空業界では、ささいなミスが悲惨な結果を招く可能性があります。事故防止のために細心の注意を払い、改善の努力を続けても限界があります。では、どのようにミスを減らせばいいのか?そこでこの本に登場するのが、チェックリストという話です。簡単にまとめます。
チェックリストの必要性
複雑な仕事をする上で、2つの問題がある。
人間の記憶力と注意力の危うさ
我々は切羽詰まった状況では、当たり前のことをも忘れてしまいがち。1つ忘れるだけで全てが駄目になってしまうような作業では、物忘れはまさに命取り。
セスナという小型飛行機のパイロットは、エンジンが停止してしまったとき、エンジンの再始動や原因分析に一生懸命になってしまい、最も基本的なことを忘れてしまうことがあるそうです。そのため、エンジン停止したときのチェックリストの1つ目の手順に、「飛行機を飛ばせ」とだけ書いてあります。硬直した思考を解きほぐし、生存確率を少しでも上げるためにそう書いてあるそうです。
人間の記憶力や注意力には限界があるので、見逃しやミスはどうしても起きてしまう。チェックリストはそのような失敗を防いでくれる安全網なのだ。
2つ目は手順を省く誘惑
すべての手順が毎回絶対とは限らない。「手順通りやらなくも、一度も問題が起きたことはない」と言いたくなることもあるかもしれないが、いつかきっと問題は起きる。最低限必要な手順を具体的に示してくれるチェックリストはそのような自体への有効な対策となりえる。
良いチェックリストとは?
悪いチェックリストは曖昧でわかりにくく、長すぎて使いにくい。現場を知らない人によって作られるため、全ての手順を細かく書き出そうとする。
脳を活性化させるのではなく、眠らせてしまうようなチェックリストを作ってしまう。
良いチェックリストは明確。効率的で的確、どんなに厳しい状況でも簡単に使える。全てを説明しようとはせず、重要な手順だけを忘れないようにさせる。なにより実用的であることが良いチェックリストの条件。
チェックリストの作り方
いつチェックリストを使うのかを決める
1.「行動のち確認」
各自に知識と経験を元に仕事をしてもらう。そして一時停止に到達したら、なすべきことが全てなされたかをチェックするタイプ。
2.「読むのち行動」
確認しながら順番に手順をこなしていくタイプ。
シンプルで明確に
チェックリストの文章はシンプルで明確でなくてはいけない。原則として項目の数は5個から9個にしておくと良い。人間の脳が一度の保持できるのもそれくらいだと言われている。
一つの一時停止点に60秒から90秒かかってしまうとチェックリストはかえって邪魔になってしまうことが多い。
また、その業界にいる人ならば誰でも知っている言葉のみを使うべき。
誤解されがちだが、チェックリストはマニュアルではない。全ての手順を詳細に説明するものではない。忘れることがほぼないということがわかっている項目は、チェックリストに入れる必要はなく、むしろ入れるべきではない。
チェックリストの見た目重要
理想的には1ページに収まり、余計な装飾や色使いは避け、大文字と小文字を使い分けて読みやすくしてあるものが良い。
そして、必ず実世界で試用する必要がある。
以上、簡単にまとめました。本書には、医療や航空、建築業界等でチェックリストがどのように効果があったのか、その経緯について詳しく書かれています。
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